ミシュランガイド世界の3つ星レストラン―世界の美食をめぐる旅
出版社:日本ミシュランタイヤ
アジア、アメリカ、ヨーロッパ、、、世界中にちらばる三ツ星レストランの物語、そのシェフやオーナーの思いがまとまったガイド、ここでは25人のフランス人三ツ星シェフのコメントから、共通して大切にしている事を以下、ご紹介いたします。
- アラン・デュカス
人の手が触れる前に素材そのものに、すでに味は宿っているが持論。もちろん卓越した技術と伝統料理を現代風に鮮やかに描き変えてしまう天才的ひらめきをさしおいては語れない。さらにそのひらめきは料理にとどまらず、素材の持ち味を引き出す為の調理器具にも及んでいる。 - アラン・パサール
彼がレシピに注ぐ情熱は、作曲家が楽譜を書くときのそれに似ている。そして彼は耳を使って料理している。厨房の火の音に耳をそばだて、ふさわしいのは子守唄なのか、目覚めの歌なのか、火加減を調整する。 - パスカル・バルボ
なぜ私の牛が美味しいか?それは肉そのものが素晴らしいからです。私の鴨?確かな養鶏場で育っているだけです。どうしてミョウガか?だって素敵な香りじゃありませんか。難しいことは何もしていません。素材がいいのです。 - ミッシェル・ブラス&セバスチャン・ブラス
二人は終始、忌諱の無い意見を交わし、幸せな共生関係を築いて創作を続けている。芸術を探究する志の前では、個人の野心などまるで意味を成さないとでも言うかのように。「ブラス」では素材が全てを決める。 - ジェラルド・パセダ
家の台所に立つ女性たちに始まり、私が味覚を鍛え、表現を学んだ修行先の有名シェフに至るまで、大勢の料理を見てきました。その間、決して変わらなかった思いが一つあります。私の料理は決定的にここ、南仏のものだということ。 - ミッシェル・ゲラール
料理は作曲に似ている。喜びを伝える為には、無理が無く、見た目にもシンプルな料理が最適です。何よりも自然が基本ですが、自然を前面に打ち出すことは、素材の深い知識がなければできません。 - ミッシェル・トロワグロ
多国籍フランス料理、、。なんとも矛盾した表現だが、すでに40年以上にわたって世界の料理界に君臨するトロワグロ家の後継者ミッシェル・トロワグロの料理を評するには、まさにうってつけと言えるだろう。1965年から続くメニューはいまも健在だ。しかし陽気で遊び心があり、決して型通りではない、料理の隅々から、異国の息吹も伝わってくる。
精力的な旅行かであるミッシェル・トロワグロは、旅先で出会った数え切れないほど多くの香りや風味、調理法を、自らの料理に取り入れてきた。そして彼の一言
「ロアンヌの店の厨房を受け継ぐのは、終わらない束縛を引き継ぐ事でもあります。ですが、私はこの仕事を継いだときから、どうしたら自分が自由でいられるか、どうしたら店に新しい広がりを与えられるかを考えてきました。地球上にある数限りない様々な風味と技術に気付いたのが突破口となりました。そして妻のマリー・ピエールとともに大好きな現代美術に親しむうちに、全く違う分野のクリエーターたちも同じように自由を追求していることを知りました。画家、彫刻家、建築家などのアーティスト、おそらく俳優、小説家、音楽家もそうなのでしょう。彼らとの付き合いを通じて、私達は多くの影響を受けました。」 - ミッシェル・トラマ
食材が面白くて仕方ありません。 - アンヌ・ソフィー・ピック
私はスタッフとともに小規模生産者のリストを作り、食材を取り寄せています。まずは仕様書を用意し、それにしたがって生産者とやり取りを始めます。そうすることで私達の仕事、扱う素材、そして店の文化が進化したと思います。私自身、人間的にも、職業的にも、本当に素晴らしい人々と出会えました。 - ピエール・ガニェール
耳を使って料理をしているとは言えないだろうか。狂いのない正確な料理を作るには素材に耳を傾けなくてはならないとシェフは言う。耳を傾けると言う彼独特の感覚は、優れた料理人が素材を重んじると言うレベルを軽く超越している。ひらめきのセンス、思いがけないマリアージュ、天才的な変換のアイデアは、その鋭い注意力と無縁ではないだろう。 - レジス・マルコン
マルコンは秋をこよなく愛する。紅葉した落葉や腐植度を懸命に押し上げて顔をのぞかせる木の子達。下生えの世界を知り尽くし、森を縦横に歩き回る彼は、目で見るよりも先に木野子のありかや成長具合を感じとる、私達の遠い祖先が持っていた感覚を受け継ぐ一人。
三ツ星シェフのコメントを拝見していると多くが共通して大切にしていること、恵まれた境遇にあることに気付いた。
- 受け入れる謙虚な性格。自然を愛しみ、四季を楽しみ、素材を大切にする
- 生まれ持って前向きな性格。仕事を楽しむ、仕事をすることが幸せである
- 星を背負う運命に生まれる。代々3つ星を受け継ぐ家系、歴史と変化を重んじる
- 心の軸は故郷。幼少時代、愛情いっぱいの家庭と多くの自然に触れて育った
- 原理原則を掴む推察力。料理を音楽に、彫刻に、小説に、、例える。突き詰めると物事は同じ原理が当てはまり、それら行きつく人々から多くの刺激を受け、自らを奮い立たせ、新たな領域に挑む。