新幹線お掃除の天使たち
著者(編集者):遠藤 巧
出版社:あさ出版
礼に始まり、礼に終わる
清掃の会社なのだから、清掃だけをきちっとやっていれば良い、お辞儀やお客様への声掛けは私達の仕事ではない、かつてのテッセイでもそんな声はありました。しかし、自分達の仕事は清掃だけではない、お客様に気持ちよく新幹線を御利用頂くことが徐々に浸透していき、到着する列車への一礼、降車するお客様へ一礼、そして乗車するお客様に一礼。そこにはお客様への感謝の気持ち、長旅の疲れを労わる気持ち、これからの旅の無事を祈る気持ちが込められています。
てきぱきとしたプロの仕事ぶり、そして礼儀正しさ。
ピカピカのトイレ
トイレの担当って皆やりたがらないんじゃなの?と思われるかもしれませんが、テッセンではある程度全体の清掃にもなれ、熟練してきた人だからこそ、トイレを任されるのです。ひどいトイレを一杯見てきました、溢れかえっている日、詰まって溢れている日、、、そして震災後1ヶ月もたってようやく清掃に入ってこれた新幹線。新幹線は使い捨てのものではない、そんなプライド。慌てふためくなれない新人さん。
とにかく、慣れ、です。自分が多少汚れても、便器がピカピカになればそれでいいのです。
思い出創成委員会のスタート
「思い出」という言葉には、「思い出というお土産をお客様にお持ち帰りいただきたい」という気持ちが込められています。JR東日本の新幹線利用者は一日26万人。そうしたお客様へ、爽やかな空間、安心のサービス、あったかな対応を提供することで、思い出を生み出す。単なる清掃の会社からおもてなしの会社へ進化する。
主任たちが会社を引っ張る
スタッフに母親のように接する一方で、仕事には一切の妥協をゆるしませんでした。特にサボりや手抜きには厳しく接しました。主任研修の際の新任主任の決意表明文は、それぞれが自分の言葉で自らの決意を述べています。「鬼姫主任になる! うっとおしい主任になる!」そこには、「清掃の高い品質を担保し、お客様に喜んでいただくためには、時に厳しく接する」というプライドと覚悟が表れています。