未来を発明するためにいまできること

著者(編集者):ティナ・シーリング
出版社:阪急コミュニケーションズ

問題を捉え直すことは、余裕があるからするのではありません。それどころか、市場や技術が変化する中で生き残るに、どの企業も事業をたえず見直す機会が必要です。例えば、コダック社は、自社の事業をカメラとフィルムを作ることだと定義するなか、ディジタルカメラの台頭により破産してしまいました。デジタルという新技術を含めて事業を捉え直すのが遅すぎた結果です。
既存のアイデアや発明の上に積み重ねていくことも、イノベーションを促進する方法の一つです。どの分野の芸術家であれ、どこからインスピレーションをいえているのかと尋ねたら、たいてい、自分の作品の土台を作った先人の名前を挙げるでしょう。画家なら、ほかの芸術家の道具や手法を真似ますし、音楽家は自分が聴いていた、ほかの音楽家のスタイルを下敷きにしていることが多いものです。パブロ・ピカソはこういったといわれています。「優れた芸術家は模倣し、偉大な芸術家は盗む」
日常生活の中で、点と点を結びつける能力を鍛えるには、喩えを使ったり、類似点を挙げたりすることが役立ちます。何かを別のものにたとえることで、面白い共通点が見つかり、新しいアイデアがひらめくことがあります。
「サード・サード(後半三分の一)」という考え方、何か問題にぶつかった時、最初に思いつくのはありきたりな答えで、二番目がより面白く、三番目がよりクリエイティブな答になる。私はアイデアは波のようなものだと考えるのが好きです。波は永遠に止まることがないからです。壁を突破し、限界を試すようなアイデアを思いつくには、最初と二番目の波を越えようとする努力が必要です。
観察とは能動的なプロセスであり、それなりの努力が必要ですが、練習すれば観察力は上がります。
科学者や芸術家はどんなタイプであっても、「気付き」の達人です。観察力を磨き、自分が目にしたことや経験したことを他の人たちに伝えられるように訓練されています。
執筆期間が4ヶ月ギリギリのスケジュールだった前作に対し、今回は10ヶ月しかし取り掛かったのは4ヶ月前だった。意図的に先延ばししていたことに気がついた。創造性を発揮するためにプレッシャーを自分で自分にかけていた。教え子達も同じでした、課題を10週間後に提出するように指示をすると、八週目になって手を付け始める。じつは、以前の授業では長期間かけて仕上げる課題を一つだけ出していましたが、今は二週間で仕上げる課題を三つ出す方針に変えました。やることは三倍に増えましたが、学生は懸命に取り組み、それを大いに楽しんでいます。無駄にする時間などないのだから、最初からプレッシャーを感じ、全力を尽します。「クリエイティビティーは制約が好き」
「天才とは、失敗を最短期間で最大限に活かせる事の出来る人間である。」実験がうまくいかなくても、データが得られ、何かしら新しいことを学ぶ機会が得られるのです。科学者に習って、自分が予想しなかった結果が出た時に、失敗したと考えるのはやめましょう。「失敗」は「データ」です。
ヘンリー・フォードの有名な言葉「できると思ったらできる。できないと思ったらできない」。失敗への根深い不安と、チャンスを逃すことへの恐れの両方と戦っているハイブリッド型が炒るようです。こうした人たちは、大胆で有意義なことをしたいと思う一方で、失敗をひどく恐れていて、ジレンマに陥っています。一方、なんとしても成功するという強い信念をもち、あらゆる壁を突破して、目標を達成してしまう人たちがいます。
意欲をかきたて、モチベーションを高めるには、強力な感情を利用する方法もある。知的好奇心ではなく、怒りや悲しみ、喜び、不満といった強い感情を推進力にしている芸術家や企業家は少なくありません。深い悲しみの中で美しい詩が生まれ、心温まるメッセージを伝えるために感動的な散文がつづられる。クリエイティビティとは頭だけで考えるものではなく、強い感情を肥やしにして生まれるものでもあるからです。
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