Story
貝殻亭リゾートの思い
世代を超えて繋がる場所
私の父は、いわゆる団塊世代で、まさに半導体が日本の産業を牽引し、JAPAN as No1を体現した人であった。海外の文化と日本の文化を私に教えてくれる父であり、飲食店が好きで小さい頃から素敵で特別なお店に連れていってくれた思い出が残っている。
新潟県出身の父が結婚し居を千葉県佐倉市に移し近隣で素敵なレストランがあるということから足を運んだ場所が貝殻亭であった。建物の素晴らしさ雰囲気に魅了された父は家族にもぜひ見せたいということから、まだ小さかった私を貝殻亭に連れて行ってくれたが、子供は入店禁止と断られたことは今になっては笑い話となっている。
その後しばらくたち父は退職後、一緒に「緑あふれる環境づくり、衣食住の事業を通じ、一人でも多くの方々のクオリティオブライフの向上に貢献する」という理念を元に会社を立ち上げ、息子である私に運営を任せた。起業後しばらくたち、前オーナーの北山氏の私財を投じて作られた貝殻亭、山椒房が北山氏亡き後、ご家族から、後継者を探されている相談をうけた。あの特別なお店を潰してしまうのはもったいないという周囲の皆さんの意見を聞き、購入、経営することに決め、それが子供の頃の入店拒否された時から20年以上の時を経て、僕と貝殻亭の2度目の出会いとなった。
僕自身としてはエンターテイメントということに興味があったため、飲食に限らず、地元の人が楽しめる場所を作り出したいと思っていた。「仏蘭西料理 貝殻亭」、北山氏の奥様が残した陶器のお店「山椒房」をそのまま引き継ぎ、北山氏のご自宅の建物を「清祥庵」という個室制のレストランにリニューアル、フランス菓子「ル ジャルダン デュ ソレイユ」を新しく建ててオープンさせ、貝殻亭ガーデンと広げていった。1つの場所で1日遊べる場所を作りたかったからである。あわせて八千代市は薔薇が市の花であるということから、貝殻亭の屋根に咲くナニワイバラの苗をお客様に配布するなど、街の皆様が誇りに思ってくれるような店舗づくりを目指してきた。
現在の貝殻亭リゾートが北山氏の理念とは少し違っていて怒られてしまうかもしれない。今の貝殻亭はお子様でも入店できるし、正装でないお客様をお断りするようなことはない。しかし、不思議とお客様がドレスアップしてお店に遊びに来てくださる。それは貝殻亭が地元の皆様にとって特別なお店であり、愛して大切にしてくれているからではないかと思う。そして僕らはお客様の期待を裏切らないよう、北山氏が望んでいた品格を保ち続けていく必要があり、その気持ちこそが貝殻亭リゾートの原点なのではないかと思っている。
最近はまちづくりの観点から、道の駅やちよの運営や、他市でのエリアマネージメントの仕事のご依頼や相談も増えてきた。まちづくりで何よりも必要なことは、地元から愛されることではないかと思う。
僕らは時間をかけて貝殻亭のように、世代を超えてつながっていく場所を目指していきたい。それは今の時代不可能に近いように感じる所業であるが、縁があって任された場所を僕らは次の世代に愛される場所として残していくことを目標にしている。
代表取締役 岩﨑 肇
副社長 岩﨑 直美